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「たそがれ」という言葉が好き(「新・たそがれ日記」序文) [新・たそがれ日記]

「たそがれ」という言葉が好き(「新・たそがれ日記」序文)

薄暗くなり人の顔が見分けにくくなって「誰そ、彼は」(「誰れ?あの人は」)って問うたという語源をもつこの言葉の語感も好きだけど、実際のたそがれ時の雰囲気があたしは好きだ。
 
さっきまで茜色に染まっていた夕焼け雲がいつの間にか暗い紫色に変わり、見上げた空にそびえる高層ビルに灯る部屋の明かりが急に輝きを増してくるころ、家路を急ぐ人、勤帰り の寄り道を楽しもうという人の群れで街が少しあわただしさを加えるころ、とりわけあざやかに色づいた銀杏の並木の黄色が灯ったばかりの街灯の光に浮かんで、寒さを迎える中にもどこか心暖かさを感じるような晩秋のたそがれ時があたしは好き。ビルとビルの間の狭い路地から薄くひろがりはじめる夕闇はあたしの味方。とあたしを誘っているような気がする。
 
「さぁ、これからがあなたの時間よ」
(『ひまわり』14号掲載 「順子のたそがれ日記(1)」の冒頭部分)

「たそがれ日記」は、アマチュア女装雑誌『ひまわり』14~17号(1994年1月~10月)に連載した順子の1993年9月から1994年8月までの日記です。
この期間は、私の女装クラブ時代の最後の1年間に相当し、結果的に順子というひとりの「女」の自立への歩みを記したものになり「女装日記文学の記念碑的作品」(キャンディ・ミルキィ師談)という評価をいただきました。

秋本明香嬢・岡野香菜嬢というふたりの「妹分」との交友の思い出とともに、私にとって最も心に残る作品です。
 
今回、インターネットのホームページに日記を掲載するにあたり、この懐かしい日記の題名を踏襲することにしました。
「たそがれ日記」の完結から5年近くの歳月がたち、「女」としての私の活動や交友範囲は、その頃には想像もしなかったほど広がりました。
「新・たそがれ日記」では、現代という時代の直中を生きる「女」、順子の活動と心情を綴っていこうと思います。

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