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2011年10月18日  叔母の墓参り [日常(思い出話)]

2011年10月18日  叔母の墓参り
(続く)

駅前のスーパーマーケットで、生花とお線香、それと雑巾、ライターを購入。

15時25分発の大月行き普通電車に乗る。
都留文科大学前駅から2つ目の都留市駅で下車。

都留市の中心をなす旧谷村(やむら)町は、江戸時代の初期には城下町だった。
谷村藩(郡内藩)は最初は徳川譜代の鳥居氏が3万5000石で入り、次いで同じく譜代の秋元氏が1万5000石を領した。

谷村の町の北側には、城下町によくあるように防衛線を兼ねていくつかの寺が並んで置かれた。
駅から10分ほど緩い登り坂を歩いて、その内に一つ円通院を訪ねる。
立派な山門がある、格式の高そうなお寺だった。
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実は、私の母の妹(叔母)が、谷村の商家に嫁いでいて、一つ年上の従姉がいた。

私は子供の頃、祖母に手を引かれて何度も谷村の叔母の家を訪ねたことがある。
その叔母の家に、沖縄から来ていた都留文科大学の学生さんが下宿していて、彼女に「琉球郵便」の切手をもらったのが、都留文科大学と私との最初の縁だった。
まだ沖縄が本土復帰する前の、もう50年も前の話だ。

最後に叔母の家に泊まったのは、大学1年生の夏休みのことだった。
民俗学のレポートのために、富士吉田に火祭りを見に行った。

叔母に最後に会ったのは母が亡くなった時だったと思う。
それからほどなく叔母も体調を崩し、長患いの末に亡くなった。

しかし、いろいろな事情があって、葬儀には行けなかった。

私の母方の祖母の実家は、美人が多く出る、しかも老化が遅い家系だったが、叔母はその血筋を最もよく受けて中年になっても若々しく美しい人だった。
気立ても、長女だった私の母とは対照的な、末娘らしく明るく華やかだった。

昨年、都留文科大学の非常勤講師を依頼された時に、叔母の墓参りのことが頭に浮かんだ。
しかし、昨年度はいろいろあわただしくて、その余裕がなかった。

今年の正月、年賀状のやり取りだけは続けている従姉に叔母のお墓のあるお寺さんの名前だけは聞いておいた。

ということで、今日、やっとお寺を訪れることができたのだが・・・。

山門をくぐり、庫裡に声をかけた。
反応なし。
お墓の詳しい場所をきくつもりだったが、仕方がないので、墓地へ。

墓地はそれほど広くなく、傾斜地に作られていたので、ほぼ全体が見渡せる。
叔母の名字が刻まれた墓は4つあった。

一つ一つ巡って、墓誌に刻まれている俗名を確認していく。
ところが見つからない。
困った。

その時、庫裡の内(墓地は庫裡の裏手にある)に人の気配を感じた。
そこで、もう一度、庫裡に戻り、今度は遠慮なく大きな声を掛けた。

反応なし。
やはり誰もいないのかなと思った時、腰の曲がったおばあさんが出てきた。

叔母の氏名と住所、それに家号を告げて、お墓の場所を尋ねた。
思い出してもらえない・・・。
これは駄目かな?と思いながら、思いついて施主(叔父)の名を告げたら、「もしかして・・・あのお墓かな」と反応が返ってきた。

「場所だけ教えてくだされば結構です」と言ったのに、案内して下さるという。

しかし、それからが大変。
おばあさま、腰が曲がっているので、手押し車を支えにして歩くのだが、墓地は傾斜地なので坂道がなかなか上がらない。
私も手提げ袋とお花で両手が塞がっているので、うまく介助できない。

やっと「かもしれない」というお墓に着いた。
墓誌に叔母の名がないことは確認済だが、その時、おばあさまが「施主さんのお名前が裏にありますよ」と教えてくれた。

ああ、そうだった、なぜそれに気づかなかったのだろう。
施主の名は、間違いなく叔父の名だった。

そして、古い卒塔婆に叔母の名が入った「〇〇尼」と書かれてあり、やっと確認できた。

案内してくれたおばあさまに御礼を言って、お墓の掃除にかかる。

お墓はかなり汚れていた。
叔父も80歳を過ぎ、体が不自由だ。
従姉も離れた場所に住んでいる。
そうしばしば墓参りも叶わないのだろう。

雑巾1枚では、満足がいく掃除をするのは無理だったが、できるだけのことはして、お花とお線香を供える。

子供の頃、可愛がってくれた御礼と、長い間の無沙汰を詫び、縁あって都留文科大学で講師をしていることを報告した。

お墓探しと掃除で思いがけず時間を費やしてしまい、駅に戻った時には乗る予定の電車が行った後だった。

でも、これで長年の気持ちの引っかかりが取れた。

また時間があるときに来よう。
今度は小さなデッキブラシ持参で。
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