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2011年04月06日 おろしハンバーグの謎 [食文化論]

2011年04月06日 おろしハンバーグの謎
4月6日(水)
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自由が丘で「『続日本紀』と古代史」の講義の後、
昼食は、久しぶりに、自由が丘「Butcher's (ブッチャーズ)」の、おろしハンバーグランチ(800円)。

ふと、思う。
アメリカの代表的料理であるハンバーグと、日本の伝統食の大根おろし。
このまったく異質の、しかし絶妙な組み合わせを、最初に実行したのは誰なのだろう?

なぜ、そんなことを考えたかというと、
先月、見に行った偉大な化学者高峰譲吉の伝記映画「さくら、さくら」の中に、
大根おろしに含まれる消化酵素ヂアスターゼ(その薬品化であるタカヂアスターゼ)の効能を宣伝するために、ナオミ・グレースさん演じるキャロライン夫人が大根をおろし、それを高峰博士がアメリカの大手製薬会社の社長夫妻に勧めるシーンがあったから。

はたして、おろしハンバーグの発明者は、高峰博士夫妻なのだろう?

それとも、明治時代に数多く来日したアメリカ人の誰かなのだろうか?
あるいは、戦後の進駐軍の将校の誰かだろうか?


2011年01月08日 半日遅れの七草粥 [食文化論]

2011年01月08日 半日遅れの七草粥
1月8日(土)

本当は、昨夜、作るはずだったのだが、仕事からの帰りが遅くなり、夕食に間に合わなかった。

で、半日遅れで、七草粥を作る。

一応、分類。

う~ん、6つにしか分けられない。
私の知っているホトケノザがない。

調べてみたら、春の七草の「ほとけのざ」って、和名ホトケノザ(シソ科、春に紫色の小さな花を付ける)ではないのだ・・・。

春の七草の「ほとけのざ」は、和名コオニタビラコ(小鬼田平子)という早春に黄色の小さな花をつけるキク科の植物。

その画像を参考に、見分けると・・・こんな感じ(↓)
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左から、はこべら(ナデシコ科)、ごぎょう(キク科)、すずしろ(アブラナ科)、せい(セリ科)、すずな(アブラナ科)、なずな(アブラナ科)、ほとけのざ(キク科)。(のはず・・・)

なんで、はこべらがこんなに量が多いのだろう?

「七草なずな 唐土の鳥が、日本の国に、渡らぬように」
の歌を口ずさみながら、細かく刻む。

お粥を炊いて、まず、すずしろ(大根)とすずな(蕪)を投入、。

少し炊きいて、残りの五草を入れて、出来あがり。
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久しぶりのお粥で、おいしく、2膳半も食べてしまった。
おかずは、数の子とフキノトウの煮物。

2010年11月12日   あぶらかす [食文化論]

2010年11月12日   あぶらかす
11月12日(金)

「あぶらかす」というものは、豚の脂の多い肉を熱してラードを抽出した残りだと思っていた。
そうたくさん食べられるものではないが、少し塩をかけるとおいしい。
子供の頃、母親がおやつに出してくれた思い出がある。

だから、友人の土肥いつきさんのブログに、しばしば出てくる「カス入りのお好み焼き」の「カス」とは、そうした豚の脂身の搾りかすのことだと思っていた。

ところが、その認識がまったく間違っていたことを、昨夜、上原善広『被差別の食卓』(新潮新書 2005年6月)を読んでいて知った。

上原さんによれば、「あぶらかすとは、牛の腸をカリカリに炒り揚げたもの」で「ボロ雑巾で形作ったドーナツのような」もので「真ん中に穴があいていて、内側には脂がこってりとついている」ものだそうだ。
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↑ 画像検索してみたら、食べたことも、見たこともないものだった。
明らかに私が認識していた「あぶらかす」とは同名異物。

ほんとうに、まったく知らなかった。
55年も生きていて、しかも、一応、食文化をフィールドにしていながら・・・。

上原さんは、「中学生くらいの頃」「毎日のように自宅の冷蔵庫に入っていて今まで普通に食べていたものが、一般の人がまったく知らない食べ物だとわかったとき、とてもショックだった」と述べているが、私も自分の無知がかなりショックだった。

PS.
今、いつきさんのブログを読み返したら、ちゃんと「カス」の説明があった。
「カス」を豚の脂身の搾りかすだと完全に思いこんでいた私は、文字を追っても頭に入ってなかったということだ。

(さらに追加)
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↑ 沖縄の「あんだかしー」
「あぶらかす」とも呼ばれ、豚の脂身などからラードを取り出して残ったものを油で揚げ、塩を振ったもの。お粥の具やビールの摘みに適らしい。
つまり、私が認識している「あぶらかす」とほぼ同じもの。

2008年07月24日  土用の丑の日 [食文化論]

2008年07月24日  土用の丑の日
7月24日(木) 晴れ 東京 33.1度 湿度 62%(15時)

夕食は、土用の丑の日ということで、近所のお魚屋さんで焼いてもらった鰻の蒲焼。

土用は、五行思想に基づく暦上の区分で、各季節の終りの約18日間設定されている。
したがって、夏の土用が、もっぱら知られているが、四季それぞれにある。
現在の暦法では、太陽黄経に基づいて期間が定められている。

春の土用 : 太陽が黄経27度の点を通過する瞬間から立夏(45度)まで
夏の土用 : 太陽が黄経117度の点を通過する瞬間から立秋(135度)まで
秋の土用 : 太陽が黄経207度の点を通過する瞬間から立冬(225度)まで
冬の土用 : 太陽が黄経297度の点を通過する瞬間から立春(315度)まで

その18日間に十二支の丑の日があれば、「土用の丑の日」になる。

そもそも、鰻の蒲焼が一般に食べられるようになったのは、江戸中期のことらしい。

では、なぜ土用の丑の日に鰻を食べるかというと、平賀源内(1728~1780)が言いだしっぺだというのが、もっぱら通説。

商売がうまく行かない鰻屋が、平賀源内の所に相談に行ったところ、源内は「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という民間伝承をヒントに、「本日、丑の日」と書いて鰻屋の店先に貼ることを勧めた。
それだけのことなのだが、その鰻屋は大変繁盛。
他の鰻屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着したという。
(青山白峰著『明和誌』文政5年=1822年)

夏負け防止のために、「丑の日に『う』の字が附く物を食べる」のなら、梅干でも瓜でもいいわけだが、栄養価からすれば、良質なタンパク質でビタミンAを多く含む鰻が最適の選択だったと思う。
だから、この習俗が根付いた理由だろう。

「土用の丑の日」、今年は2度あって、7月24日と8月5日。
鰻大好きのウチのパートナーは喜んでいる。

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